2回に渡って書きました『空き家問題』。
5/9の神戸新聞(地域面)より一部抜粋 空き地放置に行政指導(全角15文字) 兵庫県加古川市では、空き地を適正に管理しない所有者に対し、管理するよう促す“行政指導(または勧告)”を出来るよう定めました ... 続きを見る 前回、空き家問題の基礎知識についての記事を書きました。 今回は空き家を所持することで起きる様々なことについて紹介していきます。 前回と同じく、上田真一『あなたの空き家問題』という書籍を参 ... 続きを見る
こえつ学習室4/『空き家問題』について(前編)
こえつ学習室4/『空き家問題』について(中編)
今回は空き家を手にした人が取る行動…
『貸す・壊す・売る』
について紹介していきます。
①空き家を貸す
空き家は人に貸すことが出来ます。
しかし屋根が崩れていたり、
雨漏りや、給湯器が壊れていてお湯が出ないなどのトラブルを抱えているならば住むのに困ります。

人に貸す前に修繕が必要です。
修繕は貸す側(持ち主)がおこないます。
これは民法606条により定められており、破れば罰則です。
ここに注意!『固定資産税』
『空き家対策特別措置法』より
空き家でも固定資産税を支払うことが義務付けられています。
賃貸にする場合でも、
その土地の所有者である“貸す側”が固定資産税を支払うのです。
それを踏まえて、注意すること。
それは、空き家を『住宅』としてではなく、
お店や病院など『住宅以外』に利用されていれば、固定資産税が高くなります。
固定資産税について簡単に補足しますと。
固定資産税とは
1月1日の時点で、所有している 土地・家屋 にかかる税金のこと。
毎年4月〜6月に都市計画税とセットで請求されるぞ!
覚えておきたい『住宅用地の特例』。
土地の上に建っているのが『住宅』である場合のみ、
固定資産税が最大6分の1、都市計画税が3分の1に軽減されます。
つまり
住宅が建っていなければ税金高くなるし
住宅以外に使われていても高くなるぞ。要注意だ!

②空き家を壊す
空き家を修繕する場合、
劣化や老朽化がひどければ修繕不可になる可能性があります。
また、修繕費が建て替え費用と変わらない、
またはそれ以上の金額になる場合もあって、最終的に多くの人が『壊す』を選択しているようです。

空き家の解体は同じ面積だとしても、以下の条件で金額が大きく異なります。
- 立地
- 道路
- 敷地
- 建物構造
例えば1の立地は、
人(車)通りの多い場所だと、解体時は警備員を雇う必要がありますよね。
その分、人件費がかかります。
2の道路は、重機が通れるかどうかが重要。
解体も廃材の搬出もすべて手作業の場合、
重機を使う時に比べて倍以上の工事期間がかかるでしょう。費用もその分アップ!
そして重要なのが4の建物構造。
木造<軽量鉄骨造<鉄骨造<鉄筋コンクリートの順番で費用が高くなります。
理由は単純。解体のしやすさです。
右に行けば行くほど、解体しづらく
また騒音や振動が大きいので、クレームをもらうも可能性もあります。

建てる予定もお金もありはしないけど(笑)
参考にしよう。
解体するよりも前に断捨離をしましょう!
空き家に家具、家電、布団、洋服などが残っている場合、解体前に処分しなくてはいけません。
これを残置物と言います。
解体業者に依頼することも可能ですが、
処分費用も別途かかることを忘れずに。
家庭ゴミとしてゴミの日に出せるものでも、業者が回収する場合は別。
むしろ処分費用が高くつき、損をしてしまうかもしれません。
できる範囲で処分しておきましょう。

私は衣服は布ゴミ、お皿は不燃ゴミの日に出しました。
依頼をする場合は、見積もりを出すこと。
そして、できるだけその場に立ち会います。
(残置物の種類や量が多い場合は、見積もりよりも金額が高くなる可能性があるから。)
依頼者は実際の処分量を目にしておくことで、こういったトラブルを回避できます。

家庭ゴミで出せそうなものと、粗大ゴミで出せるものは自分で処分しておくほうが無難かもしれませんね。
③空き家を売る
空き家の活用という点では最も一般的。
使いたい人に渡す。
空き家問題もこれで解決だ!

所有者=そこを使う人に変わる。よって修繕費やら税金やらを支払う必要はない!

これにて万事解決!!
…と書いたものの、そんな簡単な話じゃないから空き家は増え続けるのです。
(上げて落とすようで申し訳ない。)
家付で売るか、土地だけで売るか
空き家を売るといってもこの2種類があります。
①中古戸建てとして売る
②土地として売る
①の場合は土地+建物の価格で売ります。
リフォームをしてから売る方が購入されやすく、とうぜん売却価格も上がります。

②の場合は土地−建物の解体費の価格で売ります。
この場合の売り方は次の3種類。
⑴空き家付きで売る
⑵契約後、引き渡すまでに解体しておく売り方
⑶最初から解体(更地)にしておく売り方
⑴空き家付きで売る
この場合のみ購入者が解体費を負担します。
解体依頼は自分でやってね☆ってことです。
売却額は他2つに比べて下がるのは仕方がありません。
⑵契約後引き渡すまでに解体する
購入者が決まってから解体に移れるのがポイント。
固定資産税の説明に書いたこと、覚えてますか?
『住宅が建っていなければ税金は高くなる』
つまり、更地であれば税金が高くなります。
例え空き家でも更地よりかはマシです。
このことが要因で、空き家をほったらかしにしている人も多いのは事実。
けれど空き家にだって税金はかかる。
長期的に見たら解体する方がいい気もするんですけどね…。
そしてもうひとつのポイント。
解体費を売却金から支払うことができることです。
家の解体費は先ほど書いた通り、場所や建物構造によって金額が変わります。
決して安い金額ではないですし。
大まかな解体費用の見積もりを出して、
売却時には解体費よりも赤字にならないように金額を設定すれば大丈夫。
この方法が取れれば文句なしですね。
⑶最初から解体しておく
すでに更地のため、購入者は検討しやすい。
最も早く、最も高く売ることができます。
ただし、
売却前に解体費を支払うことになります。
また、解体が済んでいたとしても
12月31日までに売れなければ、固定資産税も継続でかかります。
しかも更地バージョン。高い…。

むしろ手放したい。
新制度が導入されれば多少変わるかな。
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土地を更地にした後、買い手がつかなければ
国に返す(手放す)ことができます。
しかしこれはあくまで最終手段。
国に返すには、更地にしておく他
10年分の固定資産税相当の金額を納める必要があるからです。
(あくまで現段階の情報ですが)
つまり、解体費と10年分の税金を支払って手放す。手元には1円も、資産も入ってこない。
それでもいいよ!という方には朗報かもしれません。
放置した方がいい気がする人へ
ここまで読むと、放置したくなる人の気持ちも分からなくはないんですよね。
解体費は1,000万円以上かかる場合もあり、
勿体無いけれど税金払っている方がマシなのかなと思います。
ただし、
特定空き家のことは知っておいてください。
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こえつ学習室4/『空き家問題』について(中編)
前回、空き家問題の基礎知識についての記事を書きました。 今回は空き家を所持することで起きる様々なことについて紹介していきます。 前回と同じく、上田真一『あなたの空き家問題』という書籍を参 ...
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前回の記事にも書きましたが、
特定空き家に認定されたあと、特に何もしなければ勝手に解体されます。
勝手に解体されます。
そして、その解体費は所有者に請求されるのです。
解体費用からは逃れられないというわけですね。
家を相続するにも、買うにも
このことを念頭に置いて所有したいものです。
まとめ
今回は空き家の所有者になった人がとる行動
『貸す・壊す・売る』について書きました。
改めて今回参考にした書籍をご紹介します。
こちらの書籍は大変読みやすかったです。
2015年刊行なので情報が少し古いかもしれませんが、空き家問題についての知識を得るには十分すぎると思います。
私自身、空き家のことに関してもう少し勉強してみたくなりました。
一応相続の関連にはなりますし、今後の日本を考えると避けては通れない問題になり得るので。
1人でも多くの人生の手助けができるよう、
今後も分かりやすい記事の更新に励みます。
今回の記事で空き家に関心が向いた人がいてくれれば幸いです。
今回はここまで。ありがとうございました!